CRAFTSMAN×CRAFTSMEN Vol.4 前編/森井 英敏

Craftsman & Craftsmen

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こだわりと誇りを持ち日々仕事をしている方達と、
STUMPTOWNプロデューサーである菊池氏との対談
職へのこだわりや情熱をお尋ねしながら、ブーツとの関連性を探りつつ
お互いのクラフトマンシップについて語り合う。

CRAFTSMAN vol.4
GRカンパニー代表/森井 英敏
前編 | 後編

菊池:
25年ほど靴の業界にいますが、当時からブーツがとにかく好きで、ずっとこういうお店をやりたかったんですよ。最初の頃は小売の仕事ではなくて、まだ日本に入ってきていない商品を国内に紹介するという商品よりな仕事に従事していました。数年前にダナーとホワイツの正規代理店になったので取り扱いが出来るようになったんです。
森井氏:
僕のお店でもホワイツを取り扱っていますが、本当にこだわりが強いお客様が多いですね。ダナーとホワイツが好きな人たちは。僕はそういう人達大好きなんですけど、知識がないと接客もままならないというか、説得力に欠けるというか。
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菊池:
特に渋谷店に関しては、ここの横浜店に比べるともっとコアなアイテムを扱っていますので、やはりそういったお客様は多く来店頂けますね。期待感を持って来てくれるお客様も多いので、キチンとした専門的な知識を持ったスタッフを配置しています。育成というと聞こえがいいのですが、全国のスタッフからブーツ好きを募って面談を繰り返して選ばれたスタッフは本国へ技術を学びに行ってもらいます。製造現場からリペアの技術まで全てを学んだスタッフを渋谷店、横浜店ともに配置しています。
森井氏:
お店の雰囲気ももちろん重要ですけど、スタッフさんはもっと重要ですよね。
菊池:
僕は彼らのことを職人と呼んでいます。本場の技術をしっかり学んできていますからね。
やっぱり製造のことから全て知っている職人が接客をすると、非常に信頼をして頂けますしファンになって頂けます。
森井氏:
修理工場兼お店というコンセプトも、またいいですよね。
菊池:
本国では割とスタンダートなフォーマットで、ダナーのお店に行った時にパトカーが止まっていて、ん?事件かな?って少し警戒しながら入って行ったら警官の方達が仕事用のブーツを修理に持ってきていました。制服のままで。もちろん一般の方も修理に持ち込んできて頂いていますけど、少しカルチャーショックを受けましたね。
森井氏:
販売から修理をトータルでケアしてくれるお店はなかなか珍しいと思うし、お客様からしたら説得力と安心感が違いますよ。しかも本国で技術を学んできた職人さんが店頭にいらっしゃるわけですもんね。
菊池:
このコンセプトにした理由としては、僕は義務だと思っているからです。ブーツの販売店やブランドとして修理までキチンとケアするということが。正直、安い値段の靴を扱っている訳でもないですし、上手にケアしていけば経年変化を楽しめるし、永く履ける靴ですから尚更ですよね。外部ではなく、ブランドで学んできた職人たちが純正のパーツを使用して直していく。
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森井氏:
とてもいい事ですね。修理に出すとどれくらいで仕上がってくるんですか?
菊池:
今だと、おおよそ一ヶ月くらいですね。そろそろシーズンに入るので集中してきています。そうなってくると最大で3ヶ月お待たせしてしまうこともあります。もちろんお預かりする時に目安としてお伝えするのですが、それでもいいのでと預けてくれる方が多いですね。それ程、信頼して頂けてるんだなってうれしく思います。森井さんのエンジニアもかなり味出ていますね。
森井氏:
ありがとうございます。ホワイツは20年以上前に知ってからずっとファンです。今履いているエンジニアは、10年以上前に発売されてすぐ買ったブーツです。これは毎日履いています。
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菊池:
毎日履かれてるんですね。
森井氏:
エンジニアも扱いありますよね?
菊池:
はい、扱っています。現行のものはシャフトが細くなってスッキリとした印象にアップデイトされています。
森井氏:
たまに磨いたりしますけど、放って置いた時に茶芯が出てくるので、それがすごくカッコいいです。
菊池:
茶芯たまらないですね。そういうこだわりを持った方達の信頼を失わないように、扱い店舗をかなり絞っています。先ほどの話じゃないですけど、接客もままならないのはお客様にもブランドや職人たちにも失礼だと考えているので。
森井氏:
素晴らしい方針ですね。前に雑誌で、コードバンでカスタム出来るというのを拝見して、とても興味が湧きました。
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菊池:
カスタムのキットを用意して、トランクショーを各地で開催してもらっています。もちろんこのお店でもやりましたけど、とても好評を頂いています。コードバン等の革に関しては、僕たちの方で革をホーウィン社に依頼して直接購入してストックしています。ストックや買い付けまで工場に求めてしまうとかなり負担が大きいので、生産の方に集中出来るようなサポートを心がけています。必要があれば、工場の方に革を送る形を取っています。
森井氏:
やっぱりホーウィン社の革がいいですか?
菊池:
そうですね。コードバンに関していえばダントツだと思います。色々試して作ってみたんですけど、やっぱりホーウィン社のコードバンが一番良くて、それならばうちで購入しよと決めました。
森井氏:
ここにはどのようなラインナップがされているんですか?
菊池:
あえて差別化を図っているのですけど、横浜店はベーシックな革を置いています。渋谷店にはもっとコアな種類を揃えています。
森井氏:
リザードとか爬虫類系の革のコンビ物も拝見したことがあるんですが、提唱されているんですか?
菊池:
正直、一番は僕が好きというだけなんです。苦笑。ただ、やっぱ2,3本持っている方はとても興味を持ってくれますね。爬虫類系の革に。
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森井氏:
ホワイツの強みでもあると思います。爬虫類系の革を使って編み上げを作れてしまうのは。他社さんのブーツではあまり見ないですもんね。
菊池:
おそらくですけど、出来ないのかなと思います。あえてやらないというか。
というのも、吊り込んで中ですくい縫いしてさらにだし縫いしてという工程をホワイツは全て手作業であげているので出来ているのかなと。ステッチダウン縫製を機械であげていると、難しいのかなと思います。
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森井氏:
すべて手作業ですもんね。
菊池:
糸から結ってますからね、彼らは。そんな工場や職人は世界でもいないと思います。
森井氏:
シャンクはラバーが入っているんですか?
菊池:
シャンクには革を使用しています。そこがホワイツの技術ならではなところで、土踏まずのところにアーチーズという部分が生まれて、履き込むことで体重と汗で沈んでくるので自分の足型になり、履きやすさがどんどん生まれてくるという仕組みですね。機械化されてしまうとこの技術は再現できないです。
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森井氏:
ということは、量産型へのシフトも考えないのですか?
菊池:
いわゆるアメリカの企業ですと、次の段階として設備投資して最新の機械を導入して量産型にシフトしていくのですが、ホワイツはそれを拒否して製品のクオリティと職人たちのプライドを選んだ訳です。今でも、数十年前の機械をだましだまし使っているので正直驚きました。僕たちも量産を求めている訳ではなく、そこに対するリスペクトとホワイツへの想いが強くあるので、そこを変えるつもりは全くありません。今のクラフツマンシップを尊重してキープすることが使命だと考えています。何より僕が好きですし、させませんよ。
森井氏:
とても安心しました。クラフツマンシップは残して継承しないといけないことですよね。
菊池:
その通りです。能登にある腕のいい職人が集まった工場が解散しかけているという話を聞き、工場長に職人達をまた集めることが出来ますか?って伺ったら、出来ると言ってくれたので、ウチと合併する事でその工場の存続が決まり、今では日本企画の生産や職人を目指す子達の育成の場として、活躍してくれています。僕はその様な思いをこのお店を通じて発信し続け、少しでも感じて頂ける様にアクションを起こしていきたいと思いますし、職人たちの技術力向上には全力を注ぎたいと、いろいろなことを考えています。
森井氏:
これからの動きがまだまだ楽しみですね。

PROFILE

森井 英敏 | GRカンパニー代表。
構想と設計に約7年を費やした後
天然エゾ鹿の角を贅沢に用い、オールハンドメイドで和製ディアホーンシャンデリアを作り上げた。
北海道・十勝を拠点にカウボーイやインディアンの文化を発信し続けている。
菊池 孝 | STUMPTOWN
DIRECTORSTUMPTOWNのディレクションだけでなく、フットウェアやアパレルのプロデュースも手掛け、イベントの企画立案などにも携わる。仕事以外の趣味としても家具やオブジェ制作、デザインやペインティングなどにも造詣が深く、その多岐に渡る創作意欲には各業界も注目する。
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