Danner解体新書 ~下の巻~

はてさて、2018年も残すところあと1週間と少しというわけだが
当ブログをお読み頂いている諸兄諸姉はどんな1年だっただろうか。
素敵なブーツに出会う事は出来ただろうか。
素晴らしいブーツライフを送る事が出来ただろうか。
出来た方も出来なかった方も、STUMPTOWNはそんなアナタのブーツライフをこれからも応援し続けます。
というわけで、12月11日にUPした上の巻と合わせて、今回の下の巻をご覧頂き
今後のブーツライフに少しでもお役立ち出来れば冥利に尽きる。
前回は主にソール付近の内部構造についてご覧頂いたのだが
無論、Dannerのブーツはそれだけではない。
今回はアッパーの内部にスポットを当てて、如何にしてDannerのブーツがこれ程に
堅牢性がありつつも、柔軟な履き心地なのかをご紹介していこうと思う。

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まず始めにブーツの正面からつま先を見て頂いたのだが
これをブーツの顔、頭部とするならば内部には何があるだろうか?
…そう頭蓋骨だ!!☠

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少し見難いかもしれないが、青い線の内側にある焦げ茶の部分にご注目頂きたい。
役割も正に頭蓋骨と同じく、外部からの衝撃から爪先を守る大事な役割となっている。
脳と同様に非常にデリケートでコントロールの要となる爪先、指先にとっては
悪路での使用が目的ともなれば無くてはならない必須パーツなのだ。
しかし多くのブーツファンが爪先には金属製の芯が入っていると
イメージされているかもしれないが、実はそこまで多くのブーツに
金属製の芯が使用されているという訳ではない。
Dannerのアウトドアブーツも然りで樹脂製のパーツが使用されている。
故に強度と柔軟性を併せ持った安全で快適な歩行が可能なのだ。
ではカカトまわりはどうなっているのか。

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アッパーの茶色いレザーに沿うように設置された黒い板状のパーツにご注目頂こう。
カカトを漢字で書くと【足偏に重い】と書いて【踵】となり、【きびす】とも読む。
踵(きびす)を返すとも言うように方向転換の際には非常に重要な上に
体重が掛かりつつ、ひねりも加わる為、非常に負担が大きい。
その為、靴内部での踵のブレは大怪我や場合によっては命の危険にもつながり兼ねない。
そんな踵周りを保護し、ブレを抑制してくれているのが上の写真の黒い部分。
ヒールカウンターと呼ばれるパーツだ。
一言でいうなれば、ブーツのスタビライザー。。。
否。。。骨盤だ。
実はこのヒールカウンターなのだが、なにぶん着脱の多い日本のユーザーからは
修理の依頼や相談が非常に多いパーツでもある。
勿論、修理は可能だが着脱の際は踵で踵を踏まないように履く事をお奨めする。
修理と言えば、上下巻に渡りこれまでに紹介したパーツ以外にも
STUMPTOWNではDanner製品にまつわる様々な純正パーツをストックしているのでご安心を。
ソール交換、シャンク(背骨)交換、先芯(頭蓋骨)交換、ヒールカウンター(骨盤)交換を
全て行って¥16,000(税抜)となっているので、お手持ちのDanner製品に
ご不安な点があればお問合せ頂きたい。
話が脱線してしまったが、これらの大小様々なパーツがDannerのブーツ内部には存在するのだが
それを可能にし、それぞれの機能を発揮させ、さらには修理の際に圧し掛かるであろう
ブーツ本体とGORE-TEXブーティーへの負担を最小限にしているのが
最後にご紹介の下の写真というわけだ。

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アッパーのレザーが直接ウェルトとなり、ミッドソール(中板)と縫い合わされているのがお分かり頂けるだろうか。
これはパーツという訳ではなく、【 Danner式ステッチダウン製法 】という、DannerLightを初めとした
Danner製品を語る上では欠かす事出来ない、言わば【DannerのDNA】とも言える製法だ。
この製法があって初めて、今までに紹介したパーツ達はそれぞれの役割を100%発揮させると共に
ブーツ全体の屈曲性や足馴染みの良さを実現しているのだ。
この製法があって初めて、上の巻の冒頭で筆者の感想としても述べたように
『合理的』な構造に繋がるかもしれない。
またこのDanner式ステッチダウン製法にとって欠かせないのがラスト(木型)だ。
このラストについては残念ながらお見せすることは出来ないが、全ての靴にとって命とも言える。
場合によっては修理の際に違うラストを使ったことにより、大きく履き心地が変わってしまうなんて事もある。
ちなみにその点もご安心を。
STUMPTOWNではDannerのUSA工場から特別な許可を貰い、純正のラストもご用意している。
なにはともあれ、やはりブーツは奥が深い。
どうだろう?Danner製品の良さが少しは伝わっただろうか。
伝わっていても、伝わっていなくてとも、是非、2019年に生誕40周年を迎えるDannerLightや
その他のDanner製品を新たなブーツライフの候補にしてみてはいかがだろうか。
きっとこの先、一生の付き合いになるはずだ。
ではメリークリスマス。
そして良いお年を。


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