なぜ濡れている!?

突然ですが、問題です。
次のうち、GORE-TEX®の生地はどれでしょう?
Q

お分かりになりましたでしょうか?

今回は、DannerLightやMt.Lightに備わる代表的な機能である防水性、そしてそれを可能にしている
GORE-TEXについて。

さてさて…正解は…

全部違います!
大変失礼致しました。ちょっと意地悪でしたかね…。

①はDRI-LEX®という2層構造の生地です。湿気を素早く吸収し、常に蒸発を促進するため、
砂漠地帯で履く事を想定したミリタリーモデルや、暖かい環境下でも快適に履けるようアウトドアモデルなどにも採用
されているライニングです。

③たまにここがゴアテックスだよね!? なんて声も聞くのですが、モチロン違います…。
Mt.Lightには無い素材ですしね。
コーデュラナイロンというナイロンで、DannerLightをはじめ、1000 Denier(デニール)という厚みのものが使われることが
多いですね。

②、④はどちらも考え方次第では半分正解ですが、厳密にはこれがGORE-TEXではありません。これはライニングとして直接足に触れるキャンブレルです。
色や素材の織り方もモデルや年代によって違っています。

そしてそのキャンブレルの裏側にあるのが…

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GORE-TEXのフィルムになります。
つまりは、普段は目にする機会は無いという事なんです。1

このライニング(キャンブレル+GORE-TEXメンブレン)は、ブーティーと呼ばれ、靴下状に靴の中に内蔵されております。
GORE-TEX自体の縫い目はシームテープでテーピングされており、まさにどこからも浸水しない画期的な仕組みなんです。
※画像はDannerLight用のブーティー。履き口からカカト部分についているのはクッション用のスポンジ素材です。

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今回、何故このような事に触れたかというと、
いつの間にか水が入るようになってきた…
防水性が無くなった…というご相談を受けることがある為、どういった原因があるか
一例を知って頂き、今後も長く愛用のブーツとお付き合い頂ければなぁという思いからです。

◆パターン1 『踏みつけ 』・・・カウンター バキバキ事例
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アッパーのカカト部分に不自然にシワやヨレがありますね。
内側はこうなってました…
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これはカカトの内側部分に入っている、ヒールカウンターと呼ばれるパーツが粉々になってしまっている状態です。
何か大きな力が加わってダメージを受けたのか、場合によっては日常的にカカトを踏んで履いてしまっていたり…。
意外と多い症状です。
普段から、常に靴べらを携帯している方ばかりではないでしょうけども、少なくてもしっかりと紐を解いて、脱ぎ履きしましょう!!
このような芯材は、つま先にも入っておりますが、いずれも割れた破片が直接GORE-TEXメンブレンを傷つけてしまっている事があります。
アッパーには深い傷など無いのに、って個体は可能性ありですね。

◆パターン2 『 良かれと思って』・・・インソール 間接的ダメージ事例
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ちょっとわかりにくいかもしれませんが、ラインニングに何層かの跡がついているのが分かりますでしょうか。
極端に固いインソールや、分厚いインソール、数枚入れている、又はサイズが合っていないインソールが入っていた個体に多いのですが、
ライニングはなんとも無さそうですが、インソールとライニングが擦れてGORE-TEXまで破れてしまっているケースも非常に多いですね。
こういう場合、カカトだけでなく、土踏まずやつま先にもダメージが出ていたりしますね。

◆パターン3 『可愛がり過ぎ』・・・蒸れてます事例
これは敢えて写真は控えますが、
『こんなに綺麗に履いてるのに、キズも無いんだけど、なんか濡れるんだよね…』というユーザー様の
ピッカピカに磨かれた、Mt.Light。ブーツ大好きが故に可愛がりが過ぎたと言いますか。
GORE-TEXは水蒸気は通すが、水は通さない。すなわち足のムレを防ぎ、なおかつ防水をキープするというメカニズムです。
ですから、アッパーの革やナイロンにも通気性や防水性が備わっておりますが、
アッパーのレザーに何層ものクリーム、仕上げにワックス、コバには目止め液がバッチリ……..!!!

ズバリ、濡れている原因は、自分の汗の可能性があります!!

お客様、ちゃんと蒸れてます!

足の裏の汗腺は密集していて、個人差はありますが、1日にコップ1杯もの汗をかくといわれます。
せっかく、ライニングに水蒸気を発散させる機能が有りながらその外側のアッパーがシャットアウト!!って事が考えられます。

他にも、当然経年によるシームテープの剥がれなども考えられます。
いずれにしても構造や特徴をある程度わかって頂けると、上手な付き合い方が出来るのかなと思います。


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